「この人のバラなら間違いない」という
バラづくりを目指す
両親の言葉をきっかけに花き農家に
栽培方法を変えて、収穫量・品質がアップ
福岡の花屋で「バラなら、この人!」と名前がよく挙がるバラ農家がいます。久留米市の「楢原バラ園」の楢原道博さん(53)です。楢原さんは高校卒業後に一般企業に就職しました。あるとき、イチゴ農家の両親から「ハウスが余っているからバラを作ってみないか?」と提案されたことをきっかけに脱サラ。吉井町のバラ農家で1年間修業を積み、花き農家の仲間入りをしました。
現在、総面積570坪(約1900平方メートル)の5連棟ハウスで、約1万株のバラを生産しています。「バラの生産を始めてから30年以上広さは変わっていません。ただ、改善を重ね、栽培方法を変えているので、収穫量や品質は少しずつ良くなっています」と楢原さん。改善策の1つが、ロックウールという土を使わない栽培に変えたこと。「以前は土で栽培していましたが、連作障害が起きて、どうにも改善できませんでした。培地をロックウールに変えてからは、安定した生産ができています」。
可愛がり過ぎは禁物だった!
新たなチャレンジで、花屋からの反響が届くようになった
バラ栽培を始めた当初、楢原さんは手をかけるほど良いものができると思い、「可愛がり過ぎてダメにしてしまった」と反省します。「水分や温度の微妙な差で、花びらの形や色に変化が出るので、その微調整は大変ですが、必要な時期に、必要なことだけをしておけば、ちゃんと咲くと分かりました(笑)」と振り返ります。ハウス内環境を最適にするために、温度、湿度センサーを設置し、パソコンでデータを見ながら生育環境を確認しています。
また、5年前に出荷先を福岡花市場までに広げると、あちこちの花屋から反響の声をもらうようになりました。楢原さんは「花持ちの良さやボリュームを気に入ってもらえたのではないか」と分析。Facebookのメッセンジャーに会ったことのない花屋さんから直接連絡が来たりするそうです。
育種(品種を作り出すこと)に挑戦する農家もいますが、楢原さんは「品種で目を惹くより、品質で花屋さんに認められること、『この人のバラなら間違いない』と思っていただけるものを作り続けていきたい」と熱く語ります。
【お問い合わせ先】
楢原バラ園
電話:0942-78-2343