オランダ仕込みのリリーアンバサダー
花の「楽しさ」を若い世代に
オランダでアレンジの研修
生け花や茶道のお免状も
フラワーコーディネーターの野口静香さんは、志免町にある実家の『花ののぐち本店』の2代目。父親が60年前に店を開き、野口さんは短大を卒業してすぐ手伝いを始めました。「家業を継ぐとかではなく、花が好きだったんですね」。生け花や茶道の教室に花を届けるうちに、野口さん自身も教室で勉強を始めます。「(教室で)何を教えているのか知らないのは申し訳ないと思って」と話しますが、先生のお免状をとるまでに。「負けず嫌いなものですから」と笑います。
2018年に創設された「リリーアンバサダー・プロジェクト」。公認リリーアンバサダーは、ユリの球根の輸出大国であるオランダの駐日大使から認定されます。野口さんはその第一期。全国から選ばれた45人の中の一人でした。
実は、野口さんとオランダは深い縁があります。アレンジメントを教わったのは東京在住のオランダ人の有名な先生。その先生が卒業したオランダの学校を訪ねて、2週間研修を受けたこともあります。
リリーアンバサダーは、ユリの魅力を発信し、ファンを増やすことが役目。「ユリは一本でも存在感があるでしょう。豪華で、品格も備えています。何といっても香りがいい」と表情も緩みます。「カサブランカ」が一番人気ですが、ピンクで八重咲の「ディアンサ」、ワインレッドの「ブダペスト」など新しい品種も多く、店には十数種のユリをそろえています。
季節感、変化を楽しむ暮らし方
短大や講座、テレビを通じて伝える
オランダで感じたのは「街中に花があふれていて、花屋の敷居が高くない」こと。野口さんは「日常生活で花を身近に感じてもらいたい」と、『楽しい』をキーワードに店づくりをしています。「かわいいもの、キラキラしたものが好き」と野口さん。白い壁の店内にはピンク色の花がたくさん取り揃えてあり、椅子、クリスタルビーズのカーテン、キリンの置物が楽しさを演出しています。女性客が中心かというと、「意外と男性のお客さんも多くて、気軽に1本、2本でも花を買っていかれますよ」。
フラワー装飾一級技能士で、国家検定審査委員も務める野口さん。西日本短大緑地環境学科の講師としてフラワーデザインを長年教えています。公民館講座やアレンジ教室なども開催。地元テレビ局で花のコーナーを担当したこともあります。
「花は季節感があり、色や形も変化があります。器をかえたり、生け方をかえたりしても印象が違う。それがまた楽しい」と野口さん。新しい花と出会うと、「どんな風に生けようか?」と考えて、いろいろ作品をつくっては、Instagramで毎日「楽しさ」を発信し続けています。
【店舗情報】
店舗:花ののぐち
住所:糟屋郡志免町片峰中央3-17-8
電話:092-936-4187
FAX : 092-935-0717
営業:月~土曜日 9:30~19:00
日曜日 9:30~18:30
Instagram:@hananonoguchi